MTX抵抗性RA患者に対するIFX vs SASP+HCQの14年間の継続率と死亡率

2021年5月23日日曜日

関節リウマチ

t f B! P L
関節リウマチ患者に対する生物学的製剤とcsDMARDs多剤攻めを比べる話で必ず出てくるのが Swefot試験.
すごく雑にまとめると,MTX-IR患者にIFX追加とSASP・HCQ追加で比べてみて,18・24カ月時点の治療反応性に有意な差がでなかったことから,csDMARDs追加の方も思ったほど悪くないよね,という結論.

その試験後も計14年にわたる長期フォローアップで,死亡率に差があるのかを調べたのが今回の研究.

■早期RAでMTX開始3-4カ月後に低疾患活動性を達成できなかった患者が,IFX128例,SASP+HCQ130例にランダム化.患者は死亡・他国への移住・フォローアップ終了まで経過を追った.ITT解析を行った.

■IFX13例(8.8/1000人年),SASP+HCQ16例(10.6/1000人年)の死亡があった.死亡のHR1.2(95%CI 0.6-2.5)と有意な差はなし.

■1年間の死亡率はどちらも0.8%,5年間の死亡率はIFX2.3% vs SASP+HCQ1.5%,10年間の死亡率は7.8% vs 7.7%だった.

■5年後にSASP+HCQ群の~50%の患者が生物学的製剤にスイッチした.IFX群の50%が生物学的製剤を中止した.

引用元:Heather Miller, Johan K Wallman, Ingemar F Petersson, Saedis Saevarsdottir, Jonas Söderling, Sofia Ernestam, Johan Askling, Ronald van Vollenhoven, Martin Neovius, Mortality over 14 years in MTX-refractory patients randomized to a strategy of addition of infliximab or sulfasalazine and hydroxychloroquine,
Rheumatology, Volume 60, Issue 5, May 2021, Pages 2217–2222, https://doi.org/10.1093/rheumatology/keaa553


という訳で,長期で見ても死亡率に差はなし.
更に5年時点での継続率はどっちも半数近く続けられており,おそらくコントロールとしては悪くない.
グラフ見てるとそれ以降に関してはむしろcsDMARDs群の方が治療変更少なそう(継続・中止の理由までは分からないが).

半数ぐらいcsDMARDs追加でいける群があるというのはなかなかありがたい数字.どうしても効果的には生物学的製剤(IFX以外も含め)が光って見えるが,現実的には金銭的に苦しい,注射ができない,等々の問題があるし,csDMARDsで行けるならそれに越したことはない場面は多い.

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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