機械学習に基づいたSLE診断モデル:SLERPI(SLE Risk Probability Index)

2021年6月6日日曜日

SLE

t f B! P L
もう各所で有名になっていた話なので今更だが,一応出版される順番通りに読んでたらようやく出てきたのでまとめておく.
ローテ中の研修医に絶対伝えておくのが「分類基準と診断基準は違う」ということで,膠原病に「診断基準」は基本ないよと何回も言ってる.未だにポイント集めゲーム的に思われてる節があるので,専門医がいない地域とかで同じことをされると治療機会の喪失につながりかねない.

最近のSLE分類基準も「感度が!特異度が!」脳になってると大変素晴らしいように見える(実際素晴らしいものではあるだろうけど)が,やっぱり抗核抗体80倍の壁が立ちはだかる.
そんな中,機械学習で生み出されたスコアが一つ参考になるかもしれない.


■802例の成人SLE患者およびコントロールとなるリウマチ性疾患患者のdiscovery cohortから,臨床的に選ばれたパネルを用いて分析し,モデルを構築.validation cohortでテスト.
■モデルに選ばれた変数.
項目の中でも重要なものがどれか分かりやすい.

■これらを重みづけて診断モデル:SLEPRI を作成.
上記のものに間質性肺炎のマイナス項目をつけた14変数.
(頬部紅斑・斑状丘疹,亜急性皮膚ループス・円盤状ループス,脱毛,粘膜潰瘍,関節炎,漿膜炎,白血球減少<4000/μL,血小板減少・AIHA,神経障害,蛋白尿(>500mg/24hr),抗核抗体,C3・C4低下,免疫学的異常(抗DNA抗体,抗Sm抗体,抗リン脂質抗体など),間質性肺炎)

■SLE診断の感度95.1%,特異度93.7%.正確性は94.8%.
早期例や各臓器病変,重症例などの感度も良好.


引用元: Adamichou C, Genitsaridi I, Nikolopoulos D, et alLupus or not? SLE Risk Probability Index (SLERPI): a simple, clinician-friendly machine learning-based model to assist the diagnosis of systemic lupus erythematosusAnnals of the Rheumatic Diseases 2021;80:758-766.

正直項目としては分類基準とそれほど変わらなくて,ある意味どっちもよく作り込まれている証拠なのかも.抗核抗体低~陰性含め迷う時の拾い上げにSLEPRIを覚えておきたい.

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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