好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)による腎病変の特徴

2021年1月22日金曜日

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

t f B! P L

EGPAは教科書的には腎炎は少なくて,そしてANCA陽性例ほど血管炎としての側面が強く腎障害が出やすいとは聞きます.ただ自験例がなくそれ以上どういう特徴があるのか,どこまで研究されているのかは分かっていませんでした.腎生検を施行した例もまだ見ていません.

そういう訳で今回はEGPAの腎炎・腎病理について検討した研究をご紹介.


■EGPA患者のコホートにおいて,腎生検で証明された腎炎患者を対象とした後方視的多施設研究.63例が組み込まれた.

■ANCA陽性は53例(84%)で,そのうち44例(83%)がMPO-ANCA,5例(9%)がPR3-ANCA.
■表現型は急性腎不全が75%.蛋白尿は95%で,中央値1.0g/day.顕微鏡的血尿は84%.
■腎生検ではpauci-immuneの壊死性糸球体腎炎が78%.
主にANCA陰性例で膜性腎症(10%),膜性増殖性糸球体腎炎(3%)といった血管炎としては非典型な所見もみられた.
■純粋な急性間質性腎炎が10%,重大な間質浸潤(領域の25%以上,大半は好酸球)が44%.

■全患者がステロイド投与を受け,86%で補助的な免疫抑制剤投与を受けた.
中央値51カ月の経過で,92%が生存し,14%が維持透析,3%が腎移植.

引用元:Cécile-Audrey Durel, Renato A Sinico, Vitor Teixeira, David Jayne, Xavier Belenfant, Sylvain Marchand-Adam, Gregory Pugnet, Jacques Gaultier, Thomas Le Gallou, Dimitri Titeca-Beauport, Christian Agard, Christelle Barbet, Antoine Bardy, Daniel Blockmans, Jean-Jacques Boffa, Julien Bouet, Vincent Cottin, Yoann Crabol, Christophe Deligny, Marie Essig, Pascal Godmer, Philippe Guilpain, Sandrine Hirschi-Santelmo, Cédric Rafat, Xavier Puéchal, Camille Taillé, Alexandre Karras, for the French Vasculitis Study Group (FVSG), Renal involvement in eosinophilic granulomatosis with polyangiitis (EGPA): a multicentric retrospective study of 63 biopsy-proven cases, 
Rheumatology, Volume 60, Issue 1, January 2021, Pages 359–365,
https://doi.org/10.1093/rheumatology/keaa416


という訳で,教科書通りやはり大半はANCA陽性例で注意という結果.
一方で陰性例の非典型的な所見がEGPAによるものと言ってよいのかはよくわかりませんが..

EGPAということでステロイドは当然使用しますが,追加の免疫抑制剤が何が良いのかは正直まだ分からないところです.
それなりに透析・腎移植例があるので寛解導入はしっかり必要そうですが,それがIVCYやRTXなのか,間質の好酸球浸潤が目立つのなら案外メポリズマブなのか?

アバコパン含めどんどん治療が進化するMPA・GPAに比べ,病態も治療も圧倒的に置いてけぼりなEGPA..とりあえずこういう研究を地道に拾っていくしかない.

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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