カンファや学会発表で「#ANCA関連血管炎+巨細胞性動脈炎?」というようなものがあるということだけはちらほら聞いていました.
それは合併なのか,どちらが有意なのか,どういう治療をしたらいいのか.なんとフランス19施設+ベルギー1施設で50例も集められたようなのでご紹介.
〇側頭動脈炎を疑う所見(側頭動脈生検所見や頭部の症状)を認めたが,最終診断がAAVとなった患者をTA-AAVと定義
〇GCA患者と比べ,TA-AAV患者は
・若い(70歳vs74歳)
・男性が多い(48%vs30%)
・非典型的症状が多い(耳・鼻・咽喉病変が32%,腎病変26%,肺病変20%,神経病変16%)
・CRPが高値(10.8mg/dL vs 7.0mg/dL)
〇TA-AAV患者の側頭動脈生検ではフィブリノイド壊死と小血管分枝の血管炎がそれぞれ23%に認められた.
フィブリノイド壊死
分枝血管の壊死性血管炎
〇診断が遅れたTA-AAV患者では治療失敗のリスクが有意に高かった(HR3.85 95%CI 1.97-7.51).
引用元:Delaval, L., Samson, M., Schein, F., Agard, C., Tréfond, L., Deroux, A., Dupuy, H., Garrouste, C., Godmer, P., Landron, C., Maurier, F., le Guenno, G., Rieu, V., Desblache, J., Durel, C.‐A., Jousselin‐Mahr, L., Kassem, H., Pugnet, G., Queyrel, V., Swiader, L., Blockmans, D., Sacré, K., Lazaro, E., Mouthon, L., Aumaître, O., Cathébras, P., Guillevin, L., Terrier, B. and (2021), Temporal Arteritis Revealing Antineutrophil Cytoplasmic Antibody–Associated Vasculitides: A Case–Control Study. Arthritis Rheumatol, 73: 286-294. https://doi.org/10.1002/art.41527
ただしConclusionでも述べられていることだが,これを「GCAみたらANCA測るんだ」みたいな安易な結論にすると確実にANCAの偽陽性に踊らされ訳が分からなくなる.
一度肥厚した側頭動脈を見てしまうと,今までなら間違いなくアンカリングしてしまい,末梢神経障害とかちょっとした尿所見ならバイアスかかってスルーしてしまっていたと思う.
病理所見もやや想定外のよく分からないことが書いてあったら「まあ臨床的にはGCAだし」とスルーしてしまったかも.
こういう病態があると知っていたら,そういう些細なひっかかりからANCA関連血管炎にスイッチを切り替えられる,そういうきっかけの論文にするのが正解でしょうか.
細かい治療内容は触れられておらずTA-AAVの最適治療が分かっているわけでもないですが,診断が遅れた例(つまりしばらくGCAベースの治療が入っていた?)では再燃が多いとのことであり,AAVベースと考えれば治療選択肢は色々広がるのでありがたいですね.
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