膠原病なりたての年に,リツキシマブ(RTX)入れて1か月ちょっとしてからの時期にFNになって,そのまま持っていかれてしまったかなり手痛い記憶があります.
RTXで減るのはBリンパ球では??とパニックになりながら,とりあえず目の前の起きたことを対処するのに手いっぱいで,その後調べて初めて遅発性の好中球減少があることを知りました.
意外と知らない人も多い気がするので,この機に特徴を調べてみました.
単施設故かちょっと治療に偏りがある気はするが..
■遅発性好中球減少症(LON,ここでは「B細胞除去中の予期しない好中球<1000/μL」と定義)がRTXによるB細胞除去治療の合併症であるという認識は広まっていない.
■単施設の後ろ向きコホート研究で,LONの頻度,リスク因子,臨床的特徴,マネジメント,再発性について調べた研究.
■B細胞除去治療後1年のLON累積発生率は6.6%(95%CI 5.0-8.7).
■1年目の発生率が7.2例/100人年と最も高いが,それ以降の発生率(1.5例/100人年)も一定数ある.
■大半のエピソード(59.4%)は無症状だったが,発熱が31.1%,敗血症が8.5%に認められた.大半の患者(69%)はフィルグラスチムで治療された.
■RTX再投与は87%の患者で行われ,そのうち21%がLONを再発した.
■LONに対するマネジメントのプロトコル案.
好中球数と発熱の有無で対応が分かれる.rechallengeも状況に応じて認めている.
引用元:Zonozi, R., Wallace, Z.S., Laliberte, K., Huizenga, N.R., Rosenthal, J.M., Rhee, E.P., Cortazar, F.B. and Niles, J.L. (2021), Incidence, Clinical Features, and Outcomes of Late‐Onset Neutropenia From Rituximab for Autoimmune Disease. Arthritis Rheumatol, 73: 347-354. https://doi.org/10.1002/art.41501
注意が必要なのが,70%でシクロホスファミドを併用していること.RITUXIVASあたりのデザインをそのまま使っているのか,詳しい個々のレジメンまでは記載がありませんが,当然シクロホスファミド自体の好中球減少も被っているので過大評価している可能性はあり.この辺りは単施設の限界かもしれないです.
敗血症が8.5%というところで,まあB細胞潰しにいっている中で,寛解導入期はステロイドで全般に免疫も抑えてるし,そんな中比較的保たれている好中球まで減られたら免疫としてはたまったものではないのが想像は尽きます(というか自分の症例見ながらそう思って絶望していました).
一度なったから必発という訳でもないのも大事な情報ですね.RTXの強力なステロイドのsparing効果を考えると安易に治療選択肢から消したくないのは事実ですし,プロトコルは参考になるかもしれません.
発症までが長くてもよく予知しにくいので,知らないと鑑別に上がらないまま右往左往していたりスルーする可能性もあり,ぜひ頭の片隅に置いておきましょう.
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