改訂があったので削除部分は削除線,追記部分は下線引いてます(2021/4/29).
益々複雑になってるので,ぶっちゃけ患者にも説明しづらく根拠の微妙な割に変なワクチン回避につながりそうな予感もして,個人的には日本リウマチ学会のスタンス(RTX以外は特に治療変えない)で説明してます.
日本リウマチ学会のお知らせは詳しくはこちら.
■methods
9人のリウマチ科医、2人の感染症専門家,2人の公衆衛生専門家によるタスクフォースにより作成。
Delphi法でコンセンサスを形成.
※rheumatic and musculoskeletal disease:リウマチ性疾患
autoimmune and inflammatory rheumatic disease:膠原病 とひとまず訳
autoimmune and inflammatory rheumatic disease:膠原病 とひとまず訳
■recommendations
・リウマチ科の医療従事者はCOVID-19ワクチンの接種状況を評価し,COVID-19ワクチンの接種を検討するためにリウマチ性疾患患者を議論に参加させ,shared-decision makingのプロセスに参加する責任がある. | strong-moderate |
・原疾患や治療関連の因子が多様であり,年齢や性別の影響も考えると,膠原病患者は一般人口と比べCOVID-19入院のリスクや予後不良となるリスクが高い. | moderate |
・COVID-19のリスクを考えると,膠原病患者は同じ年齢性別の一般人口よりも前に優先的にワクチン接種をするべきである. | moderate |
・COVID-19ワクチンの構成成分に対する既知のアレルギーはあるが,膠原病患者に特に見られるような副作用は特に認めていない. | moderate |
・COVID-19ワクチンへの反応は免疫治療を行っている膠原病患者において一般人口よりも効果や持続期間が鈍る可能性がある. | moderate |
・理論的には膠原病の再燃や悪化がCOVID-19ワクチンにより生じるリスクはある.しかしリウマチ性疾患患者のCOVID-19ワクチンのベネフィットは新規の自己免疫の発症リスクを上回る. | moderate |
※ACRのCOVID-19一般のガイダンスでは今のところ「リウマチ性疾患に特異的な予後不良となるリスク因子のエビデンスはない」と記載.一般的にリスクとして知られている併存症の多さを念頭に置いたものか,ワクチン接種の優先度を考える上では話が変わってくるということか.
■ワクチン使用における推奨(一部のみ抜粋して訳)
・投与の方法や量・回数は通常通り.
・アメリカで使用できるmRNAワクチンのデータに差はないので接種できるものを接種する.
・ワクチン接種後に免疫を確認する目的や,未接種の患者にワクチン接種の必要性を評価する目的で抗体検査をオーダーすべきでない.
・膠原病のコントロールが良好なうちに接種するのが望ましいが,生命の危機にある患者でなければ疾患活動性や重症度によらずできるだけ早く接種すべき.
■ワクチン接種の際の免疫治療(投与や接種のタイミングについて)
ヒドロキシクロロキン IVIG ステロイド(PSL<20mg/day) | 特に調整は必要ない | strong-moderate |
サラゾスルファピリジン レフルノミド アザチオプリン 経口シクロホスファミド TNF阻害薬 IL-6阻害薬 IL-1阻害薬 IL-17阻害薬 IL12/23阻害薬 ベリムマブ 経口カルシニューリン阻害薬 ステロイド(PSL≧20㎎/day) | 特に調整は必要ない | moderate |
ミコフェノール酸 | 疾患が安定している場合において,各ワクチン後1週間は内服を中止する. | moderate |
メトトレキサートMTX | 疾患活動性コントロール良好な患者では,各ワクチン接種後1週間MTX内服を中止. ワクチン接種のタイミングは調整不要. | moderate |
メトトレキサートMTX | 疾患活動性コントロール良好な患者では,単回のワクチンに関して接種後2週間MTX内服を中止. ワクチン接種のタイミングは調整不要. | moderate |
JAK阻害薬 | 各ワクチン接種後1週間はJAK阻害薬を中止. ワクチン接種のタイミングは調整不要. | moderate |
アバタセプトABT皮下注 | 初回のワクチン接種のみ,前後1週間ABT皮下注を中止. 2回目のワクチン接種時は調整不要. | moderate |
アバタセプトABT点滴 | 初回のワクチン接種のみ,ABT点滴の4週間後にワクチン投与となるように接種日を調整.接種後1週間からABT再開(ABT投与間隔が計5週間となる). 2回目のワクチン接種時は調整不要. | moderate |
シクロホスファミド静注IVCY | 可能であれば,各ワクチン接種の約1週間後にIVCYを行う. | moderate |
リツキシマブRTX | 患者のCOVID-19感染リスクが低い,あるいは自己隔離など予防的な健康対策により軽減できると考えられる場合は,次のRTX投与予定日の約4週間前にワクチンを接種. 疾患活動性的に可能であれば,2回目のワクチン接種の2-4週後までRTX投与を遅らせる. | moderate |
アセトアミノフェン,NSAIDs | 疾患活動性が安定している場合において,ワクチン前24時間は内服を中止する(ワクチン後の使用は制限なし) | moderate |
※インフルエンザワクチンではMTX休薬した方が有意な抗体のtiter達成が多いという研究はあるが,RA再燃リスクの懸念が捨てきれないこと,titer=予防効果では必ずしもないことなどlimitationはあり.
COVID-19に絡めて議論されたものがあるので気になる方はlancet rheumatologyのhttps://doi.org/10.1016/S2665-9913(20)30392-1
を参照.
0 件のコメント:
コメントを投稿