寛解の関節リウマチ患者でのcsDMARDs半減vs維持治療(ARCTIC REWIND試験)

2021年5月10日月曜日

MTX 関節リウマチ

t f B! P L
JAMAの論文その2.
最近こういう治療戦略系の研究が増えてきてる印象.ただcsDMARDs単剤の患者での減量戦略はあんまり研究されてなかった.
段々テーマはdifficult to treat RAと寛解後の治療戦略に移っていくのかな.


■ノルウェイ10施設での非盲検化非劣勢RCT.csDMARDsのみで12カ月間寛解達成した関節リウマチ(RA)患者160例を対象.
csDMARDsの量を半量にする群と同量を維持する群にランダムに割り付け.

■primary outcome:12カ月のフォローアップまでに再燃した患者の割合.非劣勢マージンをリスク差20%と設定.
(再燃:DAS>1.6・DAS0.6以上の上昇・腫脹関節2つ以上 or 患者・評価者とも臨床的に有意な再燃と判断したとき で定義)

■MTX単剤が大半(80%程度),他はMTXと他剤の組み合わせや他剤単独.MTXの量は19mg/w程度.

■csDMARDs半減群の19例(25%),csDMARDs同量維持群の5例(6%)に再燃が起きた(リスク差18%(7-29%)).半減群では再燃リスク有意に上昇.

■有害事象は半減群の34例(44%),同量維持群の42例(54%)に生じた.

引用元: Lillegraven S, Paulshus Sundlisæter N, Aga A, et al. Effect of Half-Dose vs Stable-Dose Conventional Synthetic Disease-Modifying Antirheumatic Drugs on Disease Flares in Patients With Rheumatoid Arthritis in Remission: The ARCTIC REWIND Randomized Clinical Trial. JAMA. 2021;325(17):1755–1764. doi:10.1001/jama.2021.4542


論文のConclusionは「半減治療は支持しない」というものでしたが,いきなり半分にしても再燃が1/4程度なら,寛解患者でじわじわ様子見ながら下げてくのはあながち悪いことでもないのかなと思ったりもします.
有害事象も半減群の方が少なそう.「寛解ではあるけどこの人にこの量のMTXずっとは怖いな」という例は一定数あるので,減量を試みる根拠の一つとしてはよい研究.

海外の20mgとかから10mgに半減するのと,日本の8mgから4mgに減量するのと振れ幅が同じなのかどうかとふと思ったりもしましたが,代謝の関係なので効果的には変わらないのかな?

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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