膠原病リウマチ患者のCOVID-19が重症化しやすいのかどうかという話は研究によって背景やデザインや結論が少しずつ違っていて結局統一された見解はでていない．
なので結局毎回そういう論文が出たら毎回読んでかみ砕いていくしかない．
安心材料があるとすれば死亡リスク上昇を明確に示したものは基本的になかったはず．
今回はアメリカの多施設での研究でCOVID-19の重症化リスクを比較．
”
■大規模多施設電子カルテネットワークを使いCOVID-19に罹患した膠原病リウマチ患者を特定．
primary matched model：年齢・性別・人種・BMI でマッチ
extended matched model：上記に加え，併存疾患・ヘルスケア利用 でマッチ
と重症化リスクを比較．
■膠原病リウマチ患者は半数が関節リウマチ，22％がSLEと続く．
■primary matched model（ARD2379例，対照群2379例）では，有意に入院リスク（RR1.14 1.03-1.68），ICU入室（RR1.32 1.03-1.68）急性腎不全（RR1.81 1.07-3.07），VTE（RR1.74 1.23-2.45）が高い．ただ人工呼吸器，死亡リスクは有意な上昇を認めず．■extended modelでは，VTEリスク（RR1.60 1.14-2.25）を除き有意なリスク上昇はなし．
引用元：D’Silva, K.M., Jorge, A., Cohen, A., McCormick, N., Zhang, Y., Wallace, Z.S. and Choi, H.K. (2021), COVID-19 Outcomes in Patients With Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases Compared to the General Population: A US Multicenter, Comparative Cohort Study. Arthritis Rheumatol, 73: 914-920. https://doi.org/10.1002/art.41619
”
今回に関しては併存疾患でマッチングしたところVTE以外リスク上昇がなくなったので，主には併存疾患が各リスクを増加させていたのではないかという結論．
死亡率は上げないが入院・ICU・人工呼吸器リスクは高いという結果はちらほらあったものの，こういう考察は初めてかも．
確かに膠原病リウマチ患者のmultimorbidityにはいつも手を焼くが．
0 件のコメント:
コメントを投稿