難治性皮膚筋炎(主に皮膚病変)に対するトファシチニブのパイロット研究

2021年5月16日日曜日

トファシチニブ 皮膚筋炎

t f B! P L
皮膚筋炎はIFNの病気だからJAKiは効くはずだ!とどこかで思っている人はたくさんいると思うが,思いのほかそういう研究は少なく症例報告レベルのものばかり.
筋症状と間質性肺炎が基本的に目立つ病変だが,思いのほか皮膚病変だけ残り続けて困る例も隠れてある.生命予後に直結しなくともQOLにはかなり影響大.

今回はそんな中,難治性皮膚筋炎に対するトファシチニブ(TOF)の効果を調べたパイロット研究.


■12週間のオープンラベル試験.難治性の皮膚筋炎患者10例でステロイドのスペア効果のある薬剤を完全にwash outさせ,TOF11mg徐放剤/dayを投与.

■ベースラインの特徴.CPKは平均82IU/Lであり,主に皮膚に活動性がある患者を見ている試験.※重度の心臓・肺病変のある患者は今回除外.
以前に使用していた免疫抑制剤は90%でMTX,50%でMMFなど.

■10例全例で,IMACS group definitionにおける疾患活動性改善を認めた.
また2016ACR/EULAR myositis response criteriaにおいて5例(50%)が疾患活動性の中等度改善,残り5例(50%)が最小限の改善を認めた.
皮膚病変のCDASIスコアが有意に改善.

■血清CXCL9/CXCL10濃度(IFNに関連),皮膚生検9検体中3検体でIFN標的遺伝子発現の抑制に伴うSTAT1シグナルの低下を認めた.

引用元:Paik, J.J., Casciola‐Rosen, L., Shin, J.Y., Albayda, J., Tiniakou, E., Leung, D., Gutierrez‐Alamillo, L., Perin, J., Florea, L., Antonescu, C., Leung, S.G., Purwin, G., Koenig, A. and Christopher‐Stine, L. (2021), Study of Tofacitinib in Refractory Dermatomyositis: An Open‐Label Pilot Study of Ten Patients. 
Arthritis Rheumatol, 73: 858-865. https://doi.org/10.1002/art.41602



周りでも一人若年女性でどうしても困ってJAKi入れたら著効した話は聞いたことある(※適応外使用であり当ブログで推奨はしていません).
本音を言えば間質性肺炎の難治例で効果があるのかどうか気になるところだが.
最近何でもJAKi使いたくなりがちな膠原病内科医の理論武装の一つにはなるかも.今後の研究に期待.

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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