竹節状声帯 ~自己免疫疾患患者の嗄声の稀な原因~

2021年4月14日水曜日

稀少疾患 症例・イメージ

t f B! P L
「自己免疫疾患患者の嗄声といえば?」って聞かれても,自分は捻り出して甲状腺機能低下症ぐらい.
全く知らない嗄声の原因がRheumatologyに取り上げられていたので,参考文献のチラ見も含めてご紹介.



■29歳女性,RA+分類不能膠原病既往.
妊娠後から嗄声が出現し改善せず受診.甲状腺機能は正常.声帯に以下のような所見.


■「竹節状声帯」(bamboo nodes of the vocal cords)
 ・・・声帯の真ん中1/3のバンド様の粘膜下の沈着.嗄声の原因になる稀な病態.
■頻度は不明だが自己免疫疾患患者でよくみられる.
■治療は声を休めること,経口ステロイド,声帯へのステロイド局注,手術など.

Achieng Sheilla, Wig Surabhi, Bamboo nodes of the vocal cords: an often-overlooked cause of dysphonia in autoimmune disease, Rheumatology, Volume 60, Issue 4, April 2021, Page 1973, https://doi.org/10.1093/rheumatology/keaa570


「多い」ってどんなもんやねん,ということで参考文献も少し読んでみる.正確な頻度を調べたものはないが,

〇参考文献1の15例報告.

■11例が自己免疫疾患患者(関節リウマチ4例,SLE5例,シェーグレン症候群4例,強直性脊椎炎1例,クローン病1例)だった.
■全例に声をよく使う経過があった.

Oker, N., Julien-Laferrière, A., Herman, P., & Chevaillier, G. (2019). Bamboo Nodes on a Series of 15 Patients: Vocal Fold Lesion as a Sign of Autoimmune Disease and Microphonotrauma. Journal of Voice, 33(3), 357–362. https://doi.org/10.1016/j.jvoice.2017.11.001


〇参考文献2の症例報告+レビュー.

■症例報告
・声のoveruseがあるプロの仕事をしているMCTD患者
・電話アシスタントのMCTD患者
・声の使用はあまり明確ではない関節リウマチ患者
が報告.

■過去文献レビュー
関節リウマチ,シェーグレン症候群,SLEなどが多い.

Hilgert, E., Toleti, B., Kruger, K., & Nejedlo, I. (2008). Hoarseness Due to Bamboo Nodes in Patients with Autoimmune Diseases: A Review of Literature. Journal of Voice, 22(3), 343–350. https://doi.org/10.1016/j.jvoice.2006.10.009


ということで,自己免疫疾患+声のoveruse という背景がある患者は要注意っぽい.
日本語で調べても意外と報告は結構出てくるので,耳鼻科的には「ああアレね」って感じになるんだろうか.
全然知らなかった,耳鼻科出してもちゃんと写真まで確認してないな..今度から紹介の時は「竹節状声帯などを愚考しておりますが」と知ったかぶりを書いてみようと思う.

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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