ANCA関連血管炎のmultimorbidityの特徴

2021年4月1日木曜日

ANCA関連血管炎

t f B! P L
最近流行りのmultimorbidity.今回はANCA関連血管炎におけるmultimorbidityの研究.
あらゆる全身臓器を障害する病気ではあり,ステロイドによる毒性も更に上乗せでmultimorbidityを加速させそうだが,果たして結果は.

■スコットランドのコホートから,1997-2017年にAAV(GPA,MPA,EGPA)と診断された患者を一般人口コントロールと比較.

■最もリスクが高いのは骨粗鬆症(IR8.0).
他にも肺循環障害(IR5.5),甲状腺機能低下症(IR3.4),弁膜症(IR3.0),高血圧(IR2.4),不整脈(IR2.2),慢性肺疾患(IR2.2),糖尿病(IR2.1),心血管病(IR1.4)など.

■AAV患者はmorbidityを発症する可能性がどの時点でも高かったが,特に診断0-2年に多かった.

■multimorbidityは診断後1年間でAAV患者23%(コントロール群9.3%),10年間でAAV患者37%(コントロール群17.3%)に認めた.

Sarica, S.H., Gallacher, P.J., Dhaun, N., Sznajd, J., Harvie, J., McLaren, J., McGeoch, L., Kumar, V., Amft, N., Erwig, L., Marks, A., Bruno, L., Zöllner, Y., Black, C. and Basu, N. (2021), Multimorbidity in Antineutrophil Cytoplasmic Antibody–Associated Vasculitis: Results From a Longitudinal, Multicenter Data Linkage Study. 
Arthritis Rheumatol, 73: 651-659. https://doi.org/10.1002/art.41557


案の定multimorbidityが多いのは予想通りですかね.
あまりいつmorbidityが増えてくるかって気にしたことがなかったですが,discussionでも触れられている通り最初の2年が多いのは原疾患自体+高用量ステロイドの影響でしょうか,あるいは発症時の全身精査で偶発的に発見されるものが増えるというバイアスも十分ありそうです.
結構循環器関連のmorbidityが多いんですね.AAVの直接の障害臓器とはならないことも多いので他臓器に比べ意識から抜けがちですが今後注意が必要かも.

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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