筋炎関連間質性肺炎の死亡リスク予測モデル

2021年3月30日火曜日

間質性肺炎 皮膚筋炎

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筋炎IPの予後,MDA5が基本悪いのは重々承知しているが,その中で更にリスク分けできないか.抗MDA5抗体のtiterやフェリチン,KL-6など聞きはするが,抗ARS抗体などではどうなのか,また組み合わせることでよい予測モデルができないか.今回はそんな論文.

個人的には予測モデルって別の研究で再検してみるとまるで別物の成績を平気で叩き出したりするので,各項目が何かは見てもあまり丸暗記や点数付けはしない方です.
日本の多施設コホートからのものなので,人種的な面ではそのまま応用しやすいですね.

■日本の筋炎関連間質性肺炎の多施設コホートをderivation cohortにして,血清バイオマーカーによる予測モデルを作成.その後別の患者群をvalidation cohortとして評価.
その結果,以下のモデルが作成された.

〇MCKモデル
・まず抗MDA5抗体の有無で分ける
・CRP≧1mg/dL・・・1点 
・KL-6≧1000U/mL・・・1点
(※正確にはオリジナルではCRPのカットオフを抗MDA5抗体陽性では≧0.8,陰性では≧1.1としていたが,煩雑なのでCRP≧1をカットオフと単純化したモデルで再検したところ許容範囲のパフォーマンスだったとのこと.わかりやすいので単純化した方を記載.)

■抗MDA5抗体陽性患者では0点/1点/2点で低/中/高リスクに分類(低リスク vs 中リスク:P<0.01,中リスク vs 高リスク:p=0.03),抗MDA5抗体陰性患者では0-1点/2点で低リスク/中リスクに分類(低リスクvs中リスク:P<0.001)することが出来た.

■特に高リスク群の特定に関しては特異度が高かった.

引用元:Gono, T., Masui, K., Nishina, N., Kawaguchi, Y., Kawakami, A., Ikeda, K., Kirino, Y., Sugiyama, Y., Tanino, Y., Nunokawa, T., Kaneko, Y., Sato, S., Asakawa, K., Ukichi, T., Kaieda, S., Naniwa, T., Okano, Y., Kuwana, M. and (2021), Risk Prediction Modeling Based on a Combination of Initial Serum Biomarker Levels in Polymyositis/Dermatomyositis–Associated Interstitial Lung Disease. 
Arthritis Rheumatol, 73: 677-686. https://doi.org/10.1002/art.41566

高リスク群にはより集中的な治療(JAK阻害薬や血漿交換も含めて)を検討するなどの余地もあるかもね,とのdiscussion.ただ本当にCRPとKL-6だけでそこまで分けられてしまうものかなぁ..KL-6高値例は確かに嫌な予感はしますが.
あと抗MDA5抗体陽性例に絞れば従来から言われていたフェリチンや抗MDA5抗体のtiterも有用(詳しくは本文Table2参照)ですが,筋炎全体に適応するモデルを作るために外されたという様子なのでその辺はご了承ください。

抗MDA5抗体じゃない間質性肺炎に関しては,ハイリスクとなる因子がまだ不明確な結果.なかなか死亡までは至らないので同定するのが難しいかも.

自験例を「そういう目」で見てみるともう少し実感として見えてくるものはあるかもしれません.

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駆け出しの膠原病リウマチ内科医.今は毎日追いつくべくひたすら修行中.

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