作用機序的にはOA以外にも炎症消すだけでは疼痛が取り切れない患者では効果はありそうな気はするのだが,いかんせん有害事象のネックが大きい.
そんな中,慢性背部痛にも抗NGF抗体の試験があったのを全然知らなかったのでご紹介.
〇fasinumab皮下注 6mg/4w ,fasinumab皮下注 9mg/4w, fasinumab静注 9mg/8w, プラセボにランダム化
〇fasinumab皮下注9mg/4wおよび静注9mg/8wで背部痛(low back pain intensity (LBPI) numeric rating score)はプラセボに比べ有意に改善,6mg/4wでは有意な改善はなし(図A.ちなみにRMQDスコア(図B)やPGA(図C)も評価し全て静注9mg/8wが最も改善).
〇末梢関節OAがある患者ほど慢性背部痛の改善が大きかった.
〇急速進行型変形性関節症はfasinumab群(3.8%,プラセボでは0.7%)に多く,1例を除き末梢関節OA患者16例で生じていた.
Dakin P, Kivitz AJ, Gimbel JS, et al. Efficacy and safety of fasinumab in patients with chronic low back pain: a phase II/III randomised clinical trial. Annals of the Rheumatic Diseases 2021;80:509-517.
ということで背部痛にも効果はありそう.
ただ別のOAの試験で急速進行型変形性関節症リスクが明るみに出て試験は途中で中止に.
改めて試験を組み直すと思われるけど,どうするんだろう.重大な関節有害事象の大変がOA合併例ならそれ以外の患者に絞るのが早そうだが,実臨床では慢性背部痛とOAの患者層って結構被りそうだし.
OAに関してはそもそも1mg/4wに絞って試験をやり直すぐらいなので,用量依存性の副作用と分かっている中9mg投与しか有意差が出なかったというのもなかなかやりづらそう.
study組むのって大変だなあと他人事のように思うところ.続報に期待.
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