ステロイド高用量長期で始めるとき,よく説明で「太ってしまうかも」と言ってしまうことが多い.
ただmoon faceや中心性肥満などは異常な分布の脂肪沈着ではあっても,「体重増加」に必ずしも合致するとは限らない.ただみるみるうちに体重が増えてしまう例もあるにはあって..
実はよく分かっていない領域で,今回の論文はステロイド長期投与で体重がどう変動するか,リスク因子は何か調べたもの.患者層は膠原病に全く限定していないので注意が必要だが,結果としては
〇通常時の体重より2㎏以上増加するのは39.6%,10%以上増加するのは10.2%のみ
〇ステロイド投与前後で体重が変わらない例が45%ある
〇女性・若年・貧困率の高い地域在住・喫煙・ステロイド使用量多い・過去にステロイド使用歴あり が通常時の体重より10%以上増加のリスク因子
〇全身性炎症疾患は,その他(喘息・COPDなど)に比べ体重増加リスクは低い
引用元:Laurence Fardet, Irwin Nazareth, Irene Petersen, Long-term systemic glucocorticoid therapy and weight gain: a population-based cohort study, Rheumatology, Volume 60, Issue 3, March 2021, Pages 1502–1511, https://doi.org/10.1093/rheumatology/keaa289
との結果.
評価する際に通常時の体重なのか,ステロイド投与直前の体重なのかは確かに大事で,問診で普通に「体重減少はありましたか?」とか聞いてるのに,その後の変動はあんまり通常時の体重を把握してないことが多いなと反省.
あと一番気にするであろう若年女性がリスクなので,その層には体重増加も含めて予めしっかり説明しておいた方がいいのかも.ただどういう生活指導が適切なのか,エビデンスがあるかといわれるとまた微妙なわけだが.
0 件のコメント:
コメントを投稿